
今回のテーマである労災(労働災害)ですが、一言で労災といっても、仕事中の怪我・パワハラなどによる精神疾患・過労死など、その意味は多岐にわたります。
なので、この記事では「仕事中の怪我」ということに絞ってお話させていただきます。
1、労災に過敏すぎるのではないか?
最近、本当に思うのですが、労災に過敏になりすぎではないでしょうか?
例えば、包丁で指を少し切ってしまった、揚げ物をしていて油が跳ねて少し火傷をしてしまったなど、日常生活でも起きうるような軽い怪我でも、労災として扱われるという傾向が強くなっています。
つまり、軽い怪我でも労災として扱い、その程度の怪我ですら絶対に防ごうとする傾向が強くなっているのです。
安全管理は重要ですが、この程度の軽い怪我でも労災として扱うのは少々過敏すぎる気がします。
1−1、現場の負担が大きい
軽い怪我でも労災として扱われる傾向が強くなった事によって、現場では労災報告書の作成という負担が増えた問題があります。
軽い怪我でも「仕事中の怪我」という意味では労災に該当しますが、この程度の軽い怪我で労災報告書を作成していてはキリがないというのが正直なところです。
怪我をした本人にとっても、軽い怪我で労災報告書だのなんだの言われてもめんどくさいだけですし、その程度なら「絆創膏でも貼っておけばいいか」というのがほとんどだと思います。
本人や現場の負担を考えれば、軽い怪我を労災として扱うのはどうなんでしょうか?
2、労災に過敏になることによる危険性
軽い怪我でも労災として扱われ、完全に防ごうという傾向が強くなってきていますが、この傾向は非常に危険だと思っています。
軽い怪我でもしないに越したことはありませんが、経験の浅い人や初心者が軽い怪我を完全に防ぐというのは、重大な労災に繋がる危険性を学ぶ機会が失われます。
それではいずれ本当に防ぐべき重大な労災に繋がり、取り返しのつかない事態になりかねません。
2−1、本当に防ぐべき重大な労災
本当に防ぐべき重大な労災というのは、後遺症が残る怪我や命に直結する怪我、もしくは長期間休業が必要となる怪我です。
例えば、包丁で手を裂いたり指を切断すれば重い後遺症が残りますし、目を火傷すれば失明する可能性があります。また、広範囲に火傷を負ってしまったり、包丁で自分や他人を間違えて刺してしまえば最悪の事態もありえます。
こういった取り返しがつかない怪我こそ、本当に防ぐべき重大な労災です。
2−2、重大な労災につながる危険性
経験の浅いうちは労災に対しての意識が薄く、頭で「そういった事例がある」というのは理解していても「何が原因で起きてしまうのか」といったことまではイメージができません。
つまり「危機管理能力が身についていない」のです。
残念ながら、人間というのは自分が痛い思いをしないと学習しないところがありますので、軽い怪我をして「もし、あと数センチずれていたら…、もう少し深く切っていたらヤバかった」といった経験を経ないことには危機管理能力は身につきません。
軽い怪我を完全に防ぐというのは、こういった危機管理能力が身につく機会を失うことになります。これは本当に防ぐべき重大な労災に繋がることですので、かえって危険だと思います。
3、まとめ
・日常生活でも起きるような軽い怪我でも労災として扱われる傾向が強い
・軽い怪我でも完全に防ごうとする傾向がある
・軽い怪我でも労災として扱うのは現場の負担が大きい
・本当に防ぐべきは、取り返しのつかない重大な労災である
・軽い怪我を完全に防ごうとするのは、重大な労災に繋がる可能性が高いので、かえって危険である
最近は、労災について過敏になっていますが、現場や本人の負担などを考えて、もう少し柔軟に対応すべきではないかと思います。
コメント